T子さんの物語
「右半身がなんだかしびれるのよ」
サービス付き高齢者向け住宅で、なり続けるコール。
コールの相手はT子さん。
T子さんは毎度訴えます。「右半身がしびれるのよ」
これって、ご本人もお分かりになられているんです。
「こんなのは気の持ちようなのよねぇ…」
先日勉強したユマニチュードを実践。
目を合わせ、お話をして、触れて…
すると、T子さんは徐々にお話をされました。
「私ね・・・」
当時女性はあまり認められなかった『進学』を許してもらえたこと
その時に成績優秀者として褒められたこと
字を書くのが好きで作品をたくさん書いたこと
ご主人に見初められた時の恋の話
どんなにご主人がハンサムで憧れの存在だったか
半身不随だったご自分のご家族を、長いこと見ていたこと
だから「自分もそうなんじゃないか」と不安になってしまうこと。
女子学生時代に書いた自分の書を、大事そうに嬉しそうに写真を撮らせてくれました。それがInstagramにもアップしていた、これ
3年1組だったんですね。😌
「昔はこの意味が全く分からなくて、先生に書きなさいって言われたから書いたの。でも今となっては手を合わせたくなるほどわかるわ」
しみじみと仰るT子さんです。
T子さんは肌がすべすべで色白なので「肌キレイですよねぇ」「すべすべ~」と言うと、とてもうれしそうに「色白って言われてたわ~うふふ~」と笑顔に。
そこで、仰ったんです。「体のしびれは気の持ちようだって分かってるの」と。
何度も「ごめんなさいね…」「ありがとうね…」と伝えてくれました。
最期にはハグして「ありがとう~うれしいわ~あなたに会えてよかった~」と、どこにそんな力があったの?っていうぐらい強く抱きしめてくれました。
そんなT子さんは、「お友だちがみ~んないなくなってしまったの」と寂しそうに言います。
寂しいことですが、介護施設ではそういうことがつきものだと思います。
そんなT子さんに「お友だち作りに行きましょう」と特別シアタールームへ誘いました。そして午前中、水戸黄門を上映。
3人の女性たちで水戸黄門を観ました、が、私も経験があります。
昼の水戸黄門は、睡眠作用が抜群(笑)
みんな揃って寝てました。(笑)
おやすみなさい・・・
『病は気から』
『気の持ちよう』
そんなことは分かっているんですよね。
でも、分かっていても苦しみや痛みや、そういうものはぬぐえないしそこにずっとある。
癒すことは難しいかもしれないけれど、傍にいてそっと心に触れる。
それが、介護なんだなと。
「もうそれ聞いた!」
「同じこと何度も言わないで!」
「痛いって言われてもどうにもできない!」
うっかりそう言ってしまいがち。
でも、あなたの痛みは、苦しみは、あなたにしかわからない。
だから・・・
心の中をのぞくんでしょう。
今日はそんなことをT子さんから改めて教わりました。
ありがとうT子さん。
T子さんが言ってたもう一つの事。
「私、こういうの小説にしたいのよ。自分の人生をね。書くことがすきだから。でもね…もう疲れちゃったから…」
私がブログに書きましたよ😌
こんなことで良いかどうかわかりませんが。
喜んでくれるといいです。